債務整理した時に発生するブラックリストによる生活への影響と対処法
「任意整理」「個人再生」「自己破産」などの債務整理をおこなうと、借金を減額・ゼロにできますが、ブラックリストに登録されてしまいます。
ブラックリストに登録されると、クレジットカードの利用、ローンなどの新規借り入れが難しくなります。
ブラックリストに載ってしまうと聞くと、債務整理はデメリットの大きい手続きに思えてしまいますが、ブラックリストの影響を正しく理解し、対処法を知っていれば、怖がる必要はありません。
借金の返済が苦しい場合は債務整理を検討した方がよいことが多く、債務整理をすることで生活を立て直すことができます。
そのため、ここでは債務整理をおこなったときにブラックリストについて詳しく解説します。
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もくじ
債務整理をおこなうとブラックリストに登録される
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4つの手続きがありますが、どの手続きをおこなってもブラックリストに登録されます。
ブラックリストとは
ブラックリスト、ブラックリストに載る、ブラックリストに登録されるなど、色々な呼び方がありますが、”ブラックリスト“と呼ばれるリストが実際に存在するわけではありません。
借金を滞納・延滞したり、債務整理をしたりした場合に、信用情報を管理する信用情報機関に事故情報が登録された状態のことを、「ブラックリスト」と呼ばれています。
事故情報が登録される信用情報機関とは
信用情報機関とは、個人名や年収、勤務先、ローン・クレジットカードの契約情報、公共料金の支払い状況などの情報を管理している組織です。
貸金業者が契約する際に、お金を貸しても大丈夫か、返済能力があるか判断するために、登録されている情報を確認しています。
日本には3つの信用情報機関があり、貸金業者はいずれかの信用情報機関に加盟しています。
CIC(シー・アイ・シー): | クレジットカード会社や信販会社が主に加盟している信用情報機関です。CIC公式サイト |
---|---|
JICC(日本信用情報機構): | 消費者金融と信販会社が主に加盟している信用情報機関です。JICC公式サイト |
JBA・KSC(全国銀行個人信用情報センター): | 銀行や銀行系のカード会社が主に加盟している信用情報機関です。JBA(KSC)公式サイト |
借金の滞納・延滞や債務整理は、返済が難しいときにするもので、貸金業者からするとおこなってほしくありません。貸したお金が返ってこないことを意味するものですので、マイナスな情報である事故情報として扱って、他の貸金業者と共有できるように信用情報機関に登録しているのです。
過払い金請求はブラックリストに載らない
過払い金請求とは、貸金業者に支払い過ぎた利息である過払い金を取り戻すことができる手続きです。過払い金請求は法的に認められた手続きで、債務整理にあたらない方法なので、基本的にブラックリストにのることはありません。
- 過払い金が発生する条件について詳しくみる
- 過払い金が発生する条件と請求時に確認すべきポイント
完済している借金に対しての過払い金請求はデメリットがない
2010年6月以前に貸金業者から借り入れていた場合、過払い金が発生している可能性があります。すでに完済している借金であっても、最後の取引から10年以上経っていなければ、過払い金を取り戻すことができます。
完済している借金に対しての過払い金は、ブラックリストに載ることもなく、デメリットがありません。取り戻した過払い金は自由に使用することができるため、過払い金が発生していない借金の返済に充てることも可能です。
- 完済後の過払い金請求について詳しくみる
- 完済した借金の過払い金請求はリスク・デメリットなく手続きできる
返済中の借金に対しての過払い金請求でもブラックリストに載らない可能性がある
過払い金が発生していれば、返済中の借金であっても過払い金請求をおこなうことができます。ただし、返済中の借金の場合は、取り返した過払い金で残りの借金を完済できないと、任意整理したことになってブラックリストに載ってしまいます。
過払い金を返済に充てるので、借金を元本から減らすことができて毎月の返済は楽になりますが、ブラックリストに載るのを避けたい方は注意が必要です。
取り戻した過払い金で残りの借金を完済することができれば、ブラックリストに載ることはありませんので、どうしてもブラックリストに載ることを避けたい場合は、過払い金請求する前に、過払い金で完済できるか確認するのが大切です。
司法書士・弁護士事務所の中には、無料で過払い金調査や相談を実施しているところがありますので、ぜひ活用しましょう。
- 返済中の過払い金請求について詳しくみる
- 返済中の借金に発生している過払い金を請求するメリット・デメリット
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債務整理をしてブラックリストに載ったときの影響と対処法
ブラックリストに載ってしまった(信用情報に事故情報が登録された)場合、クレジットカードの利用ができなくなったり、ローンの審査が通りにくくなったり、生活にいくつかの影響が出ます。
ただし、必要以上に怖がることはありません。ブラックリストに載ることでどのような影響が出るのか理解して、その上で対処法を知っておけば、客観的にブラックリストを見ることができ、自分にとってデメリットがあるか冷静に判断できるようになります。
クレジットカードの利用ができなくなる
債務整理をおこなってブラックリストに載った場合、クレジットカードの利用ができなくなります。
ショッピングができないだけでなく、キャッシングで新しく借り入れすることもできません。
信用力をもとに後払いができるクレジットカードは使用できませんが、使用時に銀行の預金口座から引き落とされるデビットカードであれば、ブラックリストに載っていても使用できます。
また、事前に現金をチャージするプリペイドカードや、自分以外の家族が契約しているクレジットカードの家族カードも、ブラックリストに関係なく使用することができます。
- 債務整理後にクレジットカードを作成する方法について詳しくみる
- クレジットカードの債務整理可能!手続き後のデメリットや新規作成方法
現在使用しているクレジットカードも使用できなくなる
任意整理の場合、整理する借金を選ぶことができ、使用しているクレジットカードを整理対象から外すことが可能です。
整理されなければ、しばらくはクレジットカードを使用することはできます。
ただし、途上与信といって定期的にクレジットカード利用者の信用力を審査しており、途上審査時に信用情報機関に事故情報が掲載されていると、使用しているクレジットカードが途中解約になる可能性があります。
クレジットカードやローン、借り入れの審査が通りにくくなる
ブラックリストに載ってしまうと、クレジットカードやローンをはじめ、新規での借り入れの審査に通りにくくなります。
貸金業者は貸し付け時に、信用情報機関の情報をもとに返済能力があるか確認しています。確認したときに事故情報がある場合は、お金を貸しても返済できない可能性があると判断されやすく、審査に受からないことが多いです。
どうしてもローンを組みたい場合は、債務整理をする前にローンを組む方法があります。信用力次第では新規でローンを組むことが可能です。
携帯電話・スマートフォンの費用を分割払いできない
あまり知られていませんが、債務整理をおこなってブラックリストに載ると、携帯電話・スマートフォンの購入費用を分割で支払うことができません。
携帯電話・スマートフォンの機体代は、毎月の利用料と一緒に分割して請求されるのが一般的のため、誤解しやすいですが、分割払いも信用力にもとづいて成り立っているローンです。
携帯電話・スマートフォンの購入時は、信用情報機関で信用情報を確認されるため、事故情報があると分割払いができたく、審査に落ちる可能性があります。
どうしても機種を変更したい、新しく端末を購入したいという場合は、一括で購入することになります。分割払いではなく、現金で一括払いできるであれば、ブラックリストに載っていても新しく携帯電話・スマートフォンを購入可能です。
賃貸契約時の審査で落ちる可能性がある
賃貸物件を借りること自体は、ブラックリストに載っていても可能です。
しかし、家賃保証会社への加入が必要の場合は、家賃保証会社の審査に落ちて物件を借りられない可能性があります。
家賃保証会社との契約が必要ない物件であれば、信用情報機関に信用情報を確認することはないため、ブラックリストに載っていても物件を借りることができます。
保証人、連帯保証人になれない
保証人や連帯保証人は、債権者と契約した主たる債務者が返済をおこなわない場合に、代わりに返済をおこなう人です。
保証人や連帯保証人は返済能力が求められるため、ブラックリストに載っている場合はなることができません。
子供の奨学金など保証人が必要な借り入れをおこないたい場合は、ブラックリストに載っていない家族や知り合いに頼みましょう。
依頼できる人がいない場合は、機関保証制度と呼ばれる制度がありますので、利用できないか確認してみましょう。
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ブラックリストの影響を受けない6つの要素
債務整理をするとブラックリストに載ってしまい、様々な影響が生活に出ます。
ただ、中には誤解しているだけで、実はブラックリストに載っていても関係のないものもあります。
生命保険の審査
ブラックリストに載っていることが原因で審査に落ちてしまうのは、信用情報を審査時に確認されるためです。逆にいえば信用情報が必要ない審査であれば、ブラックリストに載っていても審査に影響はしません。
生命保険の審査では、個人情報や職業を聞かれますが、借り入れ情報は確認されないため、ブラックリストの載っていても加入することができます。
銀行口座の開設
銀行の預金口座の開設もブラックリストに載っていてもおこなうことができます。
ただ、銀行から借り入れしている借金を債務整理で整理した場合は、口座が凍結されて、しばらく口座を開設することができなくなります。支店が異なっていても開設ができないので注意しましょう。
凍結されていない銀行であれば、ブラックリストに載っていても銀行口座を開設できますので、そこまでブラックリストによる影響を受けることはないでしょう。
転職、就職
転職や就職する際に債務整理をおこなってブラックリストに載っていることを告げる必要はありません。
面接時に会社が信用情報機関に問合わせて、事故情報があるか確認することもありません。
基本的に採用とブラックリストは無関係ですので、影響が出ることはありません。
不動産賃貸借の連帯保証人
賃貸物件の契約時に必要な賃貸借契約書には、連帯保証人が必要になります。ただ、借金の連帯保証人とは性質が異なり、不動産会社が独自に審査をおこなうものなので、ブラックリストに載っていても影響はありません。
携帯電話・スマートフォンの契約
ブラックリストに載っている場合は、携帯電話・スマートフォンの機体を分割払いで購入することはできません。ただし、現金で一括払いができれば契約することが可能です。
家族の信用情報が傷つくことはない
債務整理をおこなってブラックリストに載ってしまっても、家族に影響することはありません。信用情報は世帯単位で扱われることはなく、あくまでも個人単位ですので、債務整理をおこなった人以外がブラックリストに載ることはありません。
- 債務整理のリスクを回避する方法について詳しくみる
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債務整理をおこなうメリット
債務整理は借金問題に困っている人のために用意されている国が認める手続きです。ブラックリストに載るデメリットが目立ちやすいですが、当然ながら大きなメリットが存在します。
毎月の返済額を減らせる
債務整理の1番のメリットは、借金を減らせることです。自己破産であれば、借金をゼロにすることも可能です。
任意整理は元本から借金を減らすことができませんが、今後発生する利息をカットすることができるため、毎月の返済額を減らすことができます。
個人再生であれば、元本から大きく借金を減らすことが可能です。
生活を立て直すことができる
毎月に借金の返済額を減らすことができるので、生活に余裕を持つことができます。返済でいつもカツカツになっていた人でも、返済が減った分、貯金をしたり公共料金などの支払いに充てることができます。
そのため、債務整理をすることで、生活を立て直すことが可能になります。
永遠にブラックリストにのるわけではない
債務整理をすることでブラックリストに載ってしまいますが、いつまでも信用情報機関に事故情報が登録されるわけではありません。
借金を完済して一定期間が経てば、ブラックリストは削除され、クレジットカードの利用やローンの新規申し込みなどができるようになります。
借金の返済が難しい場合、滞納や延滞をしていれば既にブラックリストに載っていますし、また載っていなくても返済が苦しければ信用力が低いとみなされる可能性が高いです。そのため、クレジットカードやローンの利用がしたい場合は、ケースによっては債務整理をして借金を早く完済できるように動いた方が良い場合があります。
- 債務整理のメリット・デメリットについて詳しくみる
- 手続きする前に知っておきたい債務整理のデメリット・メリット
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債務整理をしたときのブラックリストに登録される期間
CIC | JICC | JBA・KSC | |
---|---|---|---|
任意整理 | 5年※ | 5年 | 5年※ |
個人再生 | 5年※ | 5年 | 10年 |
自己破産 | 5年※ | 5年 | 10年 |
※保証会社による代位弁済が行われた場合のみ登録されます(5年)
ブラックリストが削除されたか確認する方法
信用情報機関に事故情報が登録されてから、一定の期間が経てば事故情報が削除されます。信用情報機関から事故情報が削除されたかどうかは、信用情報機関に開示請求することで、確認することができます。
JICCの信用情報を開示請求する方法
JICCは、問い合わせフォームから申請できます。「スマートフォン」「郵送」「窓口」の3種類から選択可能です。いずれも手数料として1,000円かかります。
※JICCの開示方法について詳しくは公式サイトからご確認ください
CICの信用情報を開示請求する方法
CICは、「パソコン・スマートフォン」「郵送」「窓口」の3つから開示方法を選べます。いずれも手数料として1,000円かかります。
※CICの開示方法について詳しくは公式サイトからご確認ください
JBA・KSCの信用情報を開示請求する方法
JBA・KSCは、開示請求の手続きを郵送にて受け付けています。手数料として1,000円がかかります。 ※JBA・KSCの開示方法について詳しくは公式サイトからご確認ください
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債務整理をすることで借金を減額、または完成することが可能です。ただし、その代わりに、債務整理をおこなうことでブラックリストに載ってしまいます。
ブラックリストに載ることでクレジットカードの利用・新規申し込み、ローンの新規申し込みなどができなくなってしまい、生活に支障がきたす場合があるため、債務整理をおこなうことに躊躇してしまう方も多いのではないでしょうか。
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